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久保田 泰一郎(代表取締役)
みなさん。はじめまして!Necmosという会社がどのようにできあがったのか。 Necmos代表取締役の久保田泰一郎にインタビューを敢行したのでご一読くださいませ!
ライバルに気付かされた自分の幸せ
本日は宜しくお願いします。まずは簡単な自己紹介からお願いします。
久保田:こちらこそ宜しくお願いします!
今年で27歳(取材日:2022年1月)になるんですが、大学を卒業してITと人材に特化したメディア・マーケティング事業、人材のアウトソーシング事業をやっていたベンチャーに新卒として入社しました。
今ではCMを出していたり、渋谷の大きなビルにオフィスを構える業界トップの会社に成長しています。
なぜその会社に入社しようと決めたのでしょうか?
久保田:ちょっと遡りますが、僕はもともとサッカー選手を目指してたんです。身体は小さかったんですけど、ポジションはゴールキーパー(GK)で、一般的には180センチ以上は必要と言われているGKの世界なのに、僕は170センチしかなくて...
それでもプロになりたい気持ちが本当に強くて、海外に行って経験を積んだり、トライアウトを受けたりもしていました。学校の休み時間には縄跳びしたり、挙げ句の果てには親に「ホルモン注射打ってくれ」って言ったり。(笑)
"この身体でどうやって勝負していくか?"を毎日細かく分析して、ずーっと考えていました。
当時を振り返ると、"人に認められたい"っていう気持ちが強かったんですね。身体が小さかったからこそ良いモノを出したい、違いを生み出したいって強く思っていたので。
それが今の仕事の考え方や、"頭ごなしに人を否定しない"という部分にも繋がっているんだと思います。
反骨心と同時に承認欲求も高まっていたんですね。海外へはどちらの国に行かれたのでしょうか?
久保田:大学3年生の時にモンテネグロという国に行きました。念願叶ってセミプロとして契約できる所までいきましたが、給料はほぼ出ないという契約内容でした。モンテネグロは平均月収が5万円の国なので、日本からお金を多少持っていけば生活できるレベルではあったんですが...
答えを一旦保留して、プロとしての可能性を模索しながら、日本へ帰った時にまた色々考えたんですけど、結局重い腰が上がらなかったんです。自分のキャリアを想像した時に、サッカー選手を30歳で引退して、教員になって、そのまま生きていく人生で本当に満足するのか?と自問自答しました。
見えてきたのは、"サッカー選手として小さいなりに頑張ったね"という評価だけだったんです。
じゃあ自分がサッカーを通じて得た幸福であったり、サッカー選手になりたい動機ってなんだったのか?また真剣に考える日々が続いたある時、大学3年生の時の公式戦でとても印象に残る出来事が起こったんです。
その試合はもつれて最後はPK戦になったんですが、僕はPKを止めるのが苦手なタイプのゴールキーパーでした。
でもその試合は好セーブを出せて、結局PK戦の末勝てたんですね。そしたらサブのキーパーが僕の所に真っ先に走って来てくれて、めちゃくちゃ喜んでくれたんです。
そいつだって試合に出たかっただろうし、ライバルの僕がミスすることを祈っていてもおかしくない状況だし、好プレーされるのも気持ち良くないはずなのに...
それでも、涙を流しながら「ありがとう!サンキューサンキュー」と言って喜んでくれて...自分の小ささを知ったと同時に、(あぁ...自分が磨いてきた技術で、これほど喜んでくれる人がいるって嬉しいな)って素直に思えた瞬間でした。
振り返ってみると、どの瞬間でも、人が喜んでくれることの連続だったからここまで頑張ってこれたんだなと気付いて...僕はそういう幸せを享受したいから、サッカー選手っていう目的を作ったんだなと分かりました。
であれば、自分が頑張ったことで、人の心を動かすこと、世の中にインパクトを与える仕事、ビジネスをやりたい!と素直に思ったので、まずはなるべく広い領域に関わることが出来る、勢いのある大きい会社で経験を積みたいと思いました。
その先のキャリアで、そういう大きな会社の一員として世の中にインパクトを与えるのか?自分で創り出した会社でインパクトを与えるのか?を考えた時に、僕は圧倒的に後者の方が幸福度は高いなと感じたので、起業の道をその時点で決意したんです。
そんな経緯があって、まずは起業の前に"経験を積ませて頂く"という意味でその会社を選びました。
優秀な先輩たちの元でガムシャラに食らいついた会社員時代
起業しようと思ったきっかけにストーリーがしっかり詰まっていますね。新卒で入社された会社ではどういった経験を積まれたのでしょうか?
久保田:入社した会社は、ITや医療などの成長産業に積極的に投資をしていました。僕は新規事業を立ち上げる部署にインターンとして入って、そのまま新卒でIT業界専門のM&A仲介をやらせて頂きました。
まずはインターンとして働かれていたんですね。
久保田:はい。サッカー部を引退してから2週間後にはインターンに行っていました。僕にとっては、サッカーに代わるものが仕事だと思っていたので。
会社に入られてみて、"仕事って面白い!"と思えましたか?
久保田:いや、そんな余裕はないですし、正直入社した当初も思わなかったですね。(笑)
でもサッカーも最初はそうだったので、やっていくうちに面白くなっていくのかな?と、手応えを掴むまではひたすらガムシャラにやろうと決めました。
結局期間としては、2018年11月からインターンで入って2021年の1月に退社したので、約2年3ヶ月在籍していました。
今、振り返るとどんな2年間でしたか?
久保田:たくさん経験させて頂いたので、とても成長できたと思います。一緒に働いてた先輩方が大手企業の中で表彰されるなど、活躍されていた方ばかりでかなり優秀だったので、そこで揉まれた分とても学ばせて頂きました。
当時の具体的な仕事内容を教えてください。
久保田:オーナー営業だったんですが、言ってしまえば「御社の株を売りませんか?」「会社を売りませんか?」という提案をする仕事でした。とんでもない大きな資産を扱う仕事でもあったので、世の中の事やビジネスのこと、幅広い領域の知識が必要で、さすがにゼロからは大変でしたね...
しかも僕は新規事業の立ち上げだったので、完全にゼロイチの世界で....リスト作成からアポどり、スケジュール管理、営業同行まで全てやらせて頂いていました。
起業を見据えていたこともあり、営業で話す力をつけたいと思っていたので、事務的な作業と並行して、無理言って先輩たちの営業にも同行させて頂いて、盗めるものは盗もうという意識でガムシャラに動いていた気がします。
その成果が実って、新卒1年目に1件の成約が取れた時は本当に嬉しかったですね。
そこから波に乗っていきましたか?
久保田:いえ、先輩のサポートがあって契約が決まることはありましたが、僕1人の力では中々決まらないことばかりで...普通のことをしていたらダメだ、周りと同じではダメだと、結構な頻度で自主的に遅くまで会社で残業したり、終電を逃した日は会社に泊まっていたこともありました。
成約してから決してトントン拍子に行ったわけではなかったんですね。
久保田:はい。1件目の成約した後くらいから、"自分が果たして何をしたいのか?"と自問自答する日が増えました。
もともとこの会社に入社した理由も「事業作りができる」と、会社側で謳っていたことがあったので、そこに自分は惹かれて入ったというのもあったんです。"じゃあ自分は何を作りたいのか?"と考え始めてました。
マッチングアプリが奇跡の出会いを起こす
そこから何か特別な行動を起こしたのでしょうか?
久保田:はい。「yenta」っていうビジネスマッチングアプリがあるんですけど、アプリ内でマッチングした人と仕事の合間の朝・昼・夜に分けて1日3回会うようにしました。
M&Aの知見を高めるという意味合いもありましたし、初めて会った経営者の方からビジネスアイディアを頂いたり、色んな事業をやられている方のお話を聞いて新たな知見を頂いたり、人脈も作れたと思います。
そして、今の僕の会社には僕を含めて役員が3名いるんですけど、2人とも出会いがyenta経由なんですよ!(笑)
役員との出会いがマッチングアプリとは...(笑) yentaパワーすごいですね!そのメンバーで会社を設立されたのはいつ頃なんですか?
久保田:2021年の1月7日に設立をしました。
1人目は、当時まだ早稲田の大学生だったんですけど、フリーランスとしてフォトグラファーやWebデザインをやっていたんです。
話していたら、彼の考えていたビジネスモデルと僕の考えていたビジネスモデルが全く一緒だったので、初対面で会ったその日に「一緒にやろうよ!」と声を掛けたら「やる!」って即答してくれて。その時は社名も何も全く決まってなかったんですけどね..(笑)
最初の出会いで"即決"はすごいです。しかもマッチングアプリから...もう1名の方も同じような流れですか?
久保田:もう1人は、yentaで出会った人からの紹介だったんです。その人も初対面で「一緒にやろうよ!」と誘いました。(笑)
彼は大学時代の長期留学での経験から色んな人の考え方を取り入れて、吸収したいという意欲、器がありました。そこの部分にも僕は惹かれましたね。
初対面で誘って、すぐに一緒にやろうと決まったんですか?
久保田:いえ。彼は当時転職してまだ3ヶ月だったので、さすがに「ちょっと待って!」と言われました。(笑)
でも、僕たちの仕事の進捗状況を逐一共有していくうちに、「俺、やっぱり入るわ。決めた!」って言ってくれました。
yentaパワーもすごいですが、久保田さんの直感力、行動力もすごいと思います..
久保田:僕の中で大切にしているのは、"頭ごなしに人を否定しない"ということです。誰かが何か悪いことをしたとしても、背景には何かしらの原因があると思っていて...
極端な例えかもしれませんが、盗みを働いた子どもが、本当は病気で苦しんでいる母親を助けるために犯罪を犯してしまったかもしれないし、外国人の方が悪気なく家の中に土足で入ってきても、それはただ日本の慣習を知らなかっただけかもしれない...
やってしまった事が本当に悪いことであるなら、悪いことであるということを本人に理解してもらうことは勿論大事ですが、なぜそういう行動を取ったのか?を想像したり、一緒に考えたり、理解する姿勢こそが本当に大事だと思っていて。
この考えを話した時に彼も全く同じ考え方で、その瞬間にすごい共感が生まれたんです。
エンジニアのキャリアにとことん寄り添う会社
会社設立から1年が経ちましたが、現状はいかがでしょうか?
久保田:いやぁ...とりあえず潰れなくて良かったです。(笑)
僕たちの仕事はSESという仕事で、エンジニアさんを雇用させて頂いて、お客様に技術提供させて頂くという内容なんですが、この1年で役員含めて14名まで働く仲間を増やせたので、今期もこの勢いでどんどん会社を成長させていきたいと考えています。
よく"共同経営はうまくいかない"という話もありますが、現状はあまり関係なさそうですか?
久保田:「それだけは避けようぜ」って役員とは常に話してます。根本の考え方や想いは一緒なので、コミュニケーションをしっかり取りながら、これからも一緒に事業を大きくしていきたいと強く思っています。
会社の雰囲気はどのような感じでしょうか?
久保田:やることをしっかりやるという雰囲気で、メリハリはあると思います。でもやっぱり「誰のために仕事してるの?」っていう話は常にするようにしていますね。
「BtoEtoBだよ」という話をよく役員ともするんですが、エンジニアさんのキャリアをしっかり考えてあげるのはもちろん、給与面含めたトータルのサポートまでばっちりやって、従業員の方をしっかり満足させてあげることがまず大事という考え方です。
それによってパフォーマンスが上がって、お客様先で喜ばれるという循環を大切にしています。
逆に営業の人は、どれだけ良い案件の選択肢を多く用意できるか?が大事になってくるので、お客様からの深いヒアリングと行動量を意識しながら動いてくれています。このお互いを思いやる循環が良い影響を生んでくれていると確信してます。
会社として、今後チャレンジしたいことは何かありますか?
久保田:2つありますが、その前に現状についてお話させてください。
そもそもSESの業界は、ビジネスモデルが特殊で競合が2万社もいる特別な業界なんです。
一つの例で言うと、企業側がエンジニアさんを雇用しているわけではなく、一般的にどこかに外注しているケースが多いんですね。その外注先に僕らみたいな人材の会社が下にぶら下がっているような状況なんです。
例えるなら"建設"に近いですね。ITゼネコンと呼ばれることも多いんですが、ピラミッド型の多重下請け構造になってるんですよ。
そんな人材やIT企業に多いのが、間に入って中抜きして他の会社に流すみたいなやり方なんですが、実際に働かれているエンジニアさんは”いくらで自分が取引されているか?”を知らないケースがほとんど。
自分の市場価値がいくらか?を本人に知らせてあげないと、今後の本人たちのキャリアであったり、意欲やモチベーションにも繋がらないので、僕たちは全て公開するようにしています。
最近では公開している会社は増えていますが、還元率は高くないのが現状です。その中で僕たちは、一律固定10万円だけを頂いているので、業界の中でここまでクリアで高還元の会社はないと思っています。.......うん。固定10万円はほぼないです。業界最高水準という自負はあります。
エンジニアさんにとても優しい会社という印象を受けました。ただ、そこまで高還元だと会社としての利益が薄くなりそうですが、そこの部分はどう捉えてますか?
久保田:おっしゃる通りです。人を増やしていかないと利益が出ないというモデルなので、人は増やさないといけないんですよね。
先程のチャレンジしたいことの一つ目になりますが、他にもキャッシュポイントを増やしたいので、フリーランスのエンジニアの方向けにもお仕事を紹介させて頂くことをやりたいと思ってます。もちろんこちらも還元率を高めに設定させて頂くつもりです。
もう一つは、メディア事業をやりたいと考えていて、メディア自体で"お金を作る"という発想というよりは、"本当に意味のあるものを作りたい"と考えています。
具体的には、従業員に対してどれだけ貢献できるか?が大事というお話を先程もさせて頂きましたが、どういう風にキャリアをイメージするか?というノウハウを公開していきたいんです。
例えば、セキュリティエンジニアになりたい人がいた場合、ネット上でその職について検索してもざっくりとしたキャリアの傾向は出るけど、具体例が全然ないんですよね...
どうやってキャリアを積んできたのか?が具体例やストーリーと共に出てくるような、エンジニアさんにとって本当に役に立つメディアを作りたいですし、そこにキャリアのノウハウを蓄積させていきたいと考えています。やりたいこと、やらなきゃいけないことが山積みですね...(笑)
これから採用をどんどんしていきたいとお話にありましたが、久保田さんの会社にはどんな人がフィットしそうでしょうか?
久保田:弊社の考えに共感できる方であれば、まずお話をお伺いしてみたいですね。当然、現時点でエンジニアでなくともお話はさせて頂きたいです。とはいえ、根本は、自分との約束を守れる人がマッチすると思います。
キャリアをいくらサポートしたくても、自分との約束を守れず、すぐに軸がブレてしまうようでは、こちらとしても支援がし切れないケースも出てくると考えてます。そこのベースが物凄く大事になってくるはずです。
違い、お互いを理解して、尊重する
会社のベースとなる考え方とは?
久保田:たがい(互い・違い)を愛そうという思想ですね。
人は前提として、一人一人違っていると考えていて、その違いこそが素晴らしいものであるという考え方です。だからこそ、周囲の人がそれぞれの人が持つ個性を肯定的に見出していく必要があるし、そういう価値観を強く持ち続ける会社でいようという想いが込められています。
違い、お互いを理解して、尊重しようという意味合いです。
▼会社の経営理念
Philosophy(理念) | Mission(ミッション) | Credo(行動指針) |
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“たがい”を愛そう | 自分らしさが誰かのためになる世界を実現する |
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本日は貴重なお話を聞かせて頂きありがとうございました。インタビューの最後の締めになります。人生に迷っていたりとか、仕事で悩んでいたりとか、何か人生で行き詰まっている若者へ、今の久保田さんから伝えられるアドバイスがあるとすれば、どんな言葉をかけられますか?
久保田:苦手なことを頑張って努力して"強み"になるケースって正直多くないと思うんですよね。でも自分が楽しいことであったり、好きなこと、他の人よりも少し努力しただけで出来たりすることって嬉しいことだし、楽しいことだと思うんです。
当然、バランスが取れているということが強みの場合もあると思いますけど、人間は、バランスが取れているというよりも、何か突出した強みが一人一人あるはずで。
今は自分の強みを周りが認めてくれなくても、自分だけが自分の強みをわかっているのであればそれは絶対大事にしてほしいし、磨いていって欲しいと思います。
いつの日か必ず誰かが見つけてくれるだろうし、それを組織や社会の一部に加えてくれて、パフォーマンスに代わる瞬間が来ると思うんです。その瞬間、自分を必要とされて、嬉しいだろうし、それが幸福度に繋がるので。
とにかく自分の持っている個性を大事にしてほしいですし、同時に相手の素敵な所も見つけられる人でありたいですよね。
そうやって相手のことを考えられる社会って、やっぱり素敵だと僕は思うんです。
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